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柳田スライダー

インカレ優勝に二度貢献。選手の自立を促すことがカギに

Sportsperson
2018/04/09
インタビュー
  • 103
アスレティックトレーナー
柳田 尚子
(体育専門学群1999年入学)

大学時代はアメフト部の学生トレーナーとして経験を積み、これまでにトレーナーを務めた2大学の女子バスケットボール部がインカレで優勝。ケガをしている選手には「リハビリという言葉より、トレーニングという言葉を投げかけて前向きにさせる」とのエピソード1つをとっても分かるように、体の内側からきめ細やかにサポートすることでチームを勝ちに導いている。

ケガを予防するための体作りが基本

現在トレーナーとしてご活躍されていますが、なぜトレーナーを目指そうと?

中学生の時、サッカーの川口能活選手の大ファンで、「川口選手が活躍している現場で働きたい」と漠然と考えていました。そんな時、トレーナーという仕事があることを友達から教えてもらって、「私はスポーツが得意だから、向いているかもしれない。しかも川口選手に会えるかも!」と、ミーハーな気持ちでトレーナーを目指すようになりました。

珍しい動機ですね。では、数ある大学の中で筑波大を選んだ理由は?

体育やスポーツだけではなく、医療系のことも学べる環境で勉強したかったからです。当時の学力的に筑波大は難しかったのですが、高校の体育の先生が筑波大出身で「勉強さえしっかり頑張れば道はある」と勇気づけてくれて。高校3年からは筑波大に絞って猛勉強しました。人生で一番勉強した時期でしたね。

大学ではどんな生活でしたか。

アメフト部所属の学生トレーナーとして4年間経験を積んで、まだ満足いく成果が得られなかったので、もう1年アメフト部と関わりたいと考え、大学院に進学。そこでは授業・研究活動に加え、学内のトレーニングクリニックの学生スタッフとして所属し、勉強を重ねました。大学院2年目から女子バスケットボール部のトレーナーとして学群生のトレーナーと一緒にチームをサポートしました。

柳田3

アメフトとバスケット、異なるスポーツで何か違いはありましたか。

アメフトは男性のスポーツで、多少痛みがあってもプレーできてしまうのに対して、女子バスケットボールは、ケガ以外にも女性に多い貧血といった内科的な問題や、日々のコンディション、例えば体重の増減などの細かな問題があって、綿密なサポートが必要だと感じました。

ですから、アメフト選手に対してはケガを診て、どちらかというとプレーを止めることが多かったのに対し、バスケットボールの選手にはケガを予防するための体作りをするという視点で取り組むようになりました。ここで培った経験が、今の私のベースになっていて、「スポーツ選手はケガをしたら治す」のではなくて、「ケガをしない努力をする」ことが大切だと思っています。

バスケットボール部の指導を始めた1年目にインカレで優勝。

あれは良い経験でした。私が入ったばかりの時は、練習に耐えられないような体力の選手も多くて、試合で接触したらよろけるなどフィジカル面での課題が多いチームでした。

優勝へのポイントとなったのが“ケガをしない体作り”でした。春の大会で負けた後、監督に「体作りを任せて欲しい」とお願いをして、アメフトのトレーナー時代にお世話になっていた先生や大学院の先輩にトレーニング法を学びながら、夏のハードな練習に耐えられる体力を選手たちにつけさせることで、その後の秋のリーグ戦で結果が出るようになり、インカレで優勝。少しでも優勝に貢献できたかもしれないと思うと、嬉しいものがありました。

柳田追加2

筑波大だからこそ学べたことはありますか?

学生トレーナー主体で活動していましたが、時には自分たちの判断が合っているのか悩むことがありました。そのような時、すぐそばにドクターやトレーナーとして活躍する先生方、大学院生の先輩たちがいたので、分からないことをすぐに聞けて、勉強することができたのは筑波大ならではです。筑波大のように簡単にドクターと話ができるのは、一般的にはなかなかないものです。

そういった意味では、筑波大は本当に人に恵まれた環境だと思います。今でもその繋がりから仕事の依頼をいただいたり、逆に仕事をお願いしたりすることもあって、とても良い経験だったと思います。

大学時代から一貫して、トレーナーとして大事にしていることはありますか。

自分自身がやりたいことを選手にやらせるのではなく、チームが目指しているものや、チームの代表である監督の意向をきちんと理解して、そこに選手を導けるようサポートすることです。

例えば2011年から5年間、立命館大学スポーツ強化センターに所属し、ストレングス&コンディショニングコーチとして柔道部をみていた時は、「人間教育が柱で社会貢献できる人間を育てたい」という監督の意向に沿った指導をしていましたし、現在、勤務している東京医療保健大学女子バスケットボール部では、「チームが勝って恩返しをする」ために勝利への貢献が求められています。

チームによって目標は違いますけど、大学生に共通しているのは、大学卒業後に社会人になるということです。現在のチームからも社会人バスケットの道を歩んでいく選手もいるので、在学中に社会人として通用する体と精神を作ることも意識しています。大学生は高校生よりも自由ですし、社会人は大学生よりも自由ですから、次のステージを考えると選手を自立させることがカギになると思います。

選手に接する際に気を付けていることはありますか。

ケガをした選手に「リハビリをしよう」と言うとネガティブな気持ちになるみたいですが、「トレーニングをしよう」と言うと、「よし、競技のために頑張ろう」とポジティブな気持ちになるそうです。だから、できるだけポジティブな言葉をかけることを意識していて、選手にはポジティブな考えになるとやる気が出るということを経験してもらって、次に何か困難があった時には自分自身でポジティブな言葉がけができるようになって欲しいです。

柳田追加1

これまでの失敗が私の原動力

先ほどお話に出ましたが、2016年4月より東京医療保健大学の女子バスケット部でアスレティックトレーナーとして勤務されていますね。

2015年まで京都の立命館大学にいましたが、結婚を機に東京で仕事を探していた際、知り合いに紹介してもらいました。これまではトレーニングコーチとしての仕事が多く、ケガの対応やケガの予防にあたるアスレティックトレーナーとしてフルタイムで働くのは初めてなので、「今までの修行が実って、ようやくスタートラインに立てた」という気持ちです。

昨年12月、インカレで初優勝されています。

はい。チームは4年前に一部リーグに上がって、私が入る前の年でインカレ6位。監督に「ケガをしない体を作って欲しい。と同時に、勝てるチームにしたい」と言われたので、アスレティックトレーナーの立場から、ケガをしないギリギリのラインを探りながら強度と質の高い練習にて強化を図りました。

ただケガをしないことがゴールなら、練習をしないのが一番です。でも勝つことはできない。具体的には“プリベンション”という練習前のケガ予防の運動を実施し、ケガをしている選手には再発しないようテーピングをしました。あと、練習とトレーニングの疲労状態や体重などを見て、コンディションが悪化しそうな選手をピックアップして一部の練習メニューを休ませるなどしたことが功を奏しました。

生活面でも、夜ご飯を一緒に食べて栄養面をチェックしたり、睡眠の状態を把握したりして、良いコンディションを保てるようにしています。

柳田2

二度、インカレ優勝に貢献。そこに共通する部分はありますか?

キャプテンの人のキャプテンシーは大事な要素だと思います。そういった存在を間近で見られるのは感動です。ただ、アスレティックトレーナーは選手が健康でいることをサポートする立場であって、勝ち負けに大きく貢献する立場ではないと思っています。ですから、本当に良いもの見せてもらったなと選手に感謝しています。

優勝は選手の力によるものが大きいと。

そうですね。私が得点を決めることはできませんから。ただ、私が少し役に立っていることがあるとしたら、体の管理をするだけじゃなく、選手の自立を促していることカギになっているかもしれません。

大学の女子スポーツは、高校時代に良い成績だった選手でも大学の自由な環境に入った瞬間に生活が緩んでしまって成績を落とす人もいれば、大学4年間でさらに成長して次のステップに進める人もいるんですね。だから、大きな可能性があるのですが、成長するためには自立が必要です。

せっかく自分で選んで大学に入ったのなら、そのスポーツで輝いてもらいたい――そんな思いで自立を促すことが私の立場でできることです。日ごろの練習から自立する訓練をしておくと、試合のここぞという場面で逆境に負けない選択ができる選手になるのではないかと思います。

トレーナーであり、教育者であり、コーチの役も担っているような。

そこまでどっぷり関われることが、この仕事の面白さですね。

精神的なところまで関わるのは、たとえば痛みは本人の感情が大いに関係していると国際的に定義されているからでもあります。心が前向きだと、痛みも取れていきますからね。選手の精神面が変わることでケガからの復帰の早さも変わりますし、ケガの発生率も変わってくると思いますよ。

トレーナーを目指す学生は多いですが、実際にトレーナーを職業にする人は少ない。何か学生たちにアドバイスはありますか?

1にも2にも経験が必要な世界ですから、最初からいきなり満足する収入を得ることはできませんし、拘束時間も長い。そういったところが世間一般とは違うから途中で夢を諦めてしまうのかもしれないけど、諦めないで勉強し続けて、経験を積み続ければ必ず仕事はあります。

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苦労も多いようですが、仕事の醍醐味とは?

選手が頑張っている姿を間近で見られたり、選手と涙を流して抱き合ったり。それは他の職業では味わえない魅力です。優勝というゴールに辿り着けなくても、ケガで苦しい思いをしている選手の道が少しでも拓けるようサポートして、それが叶っていく姿を見るだけでも、この仕事をやる意義はあると思います。

なるほど。

現場に身を置いていると、「女性のトレーナーが必要なのに、足りていない」という声をよく耳にしますから、ぜひ諦めてないで勉強し続けて欲しいですね。

そのために私ができることは、若いトレーナーを育成すべく自分の経験を伝えていくこと。例えば、私のように医療の資格を持っていなくても、筑波大で学んだことに経験を積み重ね、アスレティックトレーナーの資格を取るだけでも十分にやっていける、そういった道を示していきたいです。

川口能活選手に会いたいとのきっかけでトレーナーを目指し、それから20年以上、ブレずに夢を追い続けられた原動力はなんでしょう?

これまでの失敗が、私の原動力になっています。トレーナーとして未熟だった頃にヒザのケガが多く出てしまったり、せっかく頑張っていた選手が体の故障で泣く泣くそのスポーツを引退したり。そういった場面に何度も出くわして歯がゆい思いをしてきたからこそ、選手が「スポーツをやっていて良かった」と思える機会を増やしたい――そのためには、選手が「自分がやった!」と思う必要があって、そのためにも選手の自立を求めているんだと思います。

順調にキャリアを積んでこられて、この先はどこに向かうのでしょうか。

その質問はよく聞かれるんですけど、アスレティックトレーナーとしてフルタイムで働くというのが目標だったので、目標達成した今、正直なところ明確な目標はないんです。しいていうなら、目の前の現場を大事にすること、目の前の選手に100%の力を注ぐこと。それだけですね。

次のことばかり考えると、今この瞬間の最善な選択ができないし、今を大事にすることが次のステップにつながるのかなと思っています。

あなたの“つくばウェイ”とは?

選手のために自分の仕事を全うすることが大事だということを学びました。自分のためにと思ってやっていたことが、あとあと他人のためになっていたことに気付かされ、それなら今、自分が持っている最大限の力を発揮しようと。そう気付かせてくれた大学生活でした。

現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

筑波大学の中には夢をもち、夢に向かってまっすぐ進んでいる方々が溢れています。その環境の中にいると、周りが眩しく見えて、逆に自信を失うこともあります。それでも自分が輝ける場所が必ずあります。試行錯誤しながら、夢をもち、夢が叶うと信じて一歩一歩前進していって下さい。

プロフィール
柳田プロフィール
柳田 尚子(やなぎだ しょうこ)
1980年生まれ。兵庫県立小野高校卒業後、1999年筑波大学体育専門学群入学、2003年筑波大学大学院体育研究科入学。学生時代は筑波大学アメリカンフットボール部にて5年間、筑波大学女子バスケットボール部にて2年間学生トレーナーとして経験を積む。女子バスケットボール部トレーナー時代には17年ぶりのインカレ優勝を裏からサポート。在学中に日本体育協会公認アスレティックトレーナーを取得。卒業後は、アスレティックトレーナーやストレングス&コンディショニングコーチとして経験を積み、現在、東京医療保健大学女子バスケットボール部アスレティックトレーナーとしてスポーツ現場の第一線で活躍中。座右の銘は「今ある現場を大切に」。
基本情報
所属:東京医療保健大学 女子バスケットボール部
役職:アスレティックトレーナー
出生年:1980
血液型:O
出身地:兵庫県小野市
出身高校:兵庫県立小野高等学校
出身大学:筑波大学 体育専門学群
出身大学院:筑波大学 大学院 体育研究科
所属団体、肩書き等
  • 東京医療保健大学女子バスケットボール部アスレティックトレーナー
  • 日本体育協会公認アスレティックトレーナー
  • 日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者
筑波関連
学部:体育専門学群
研究室:スポーツ医学研究室
部活動:アメリカンフットボール部
住んでいた場所:春日4丁目
行きつけのお店:いろり
プライベート
趣味:ジョギング
特技:運動
好きなスポーツ:バスケット、柔道
訪れた国:ドイツ、オランダ、台湾、韓国
大切な習慣:運動
座右の銘
  • 今ある現場を大切に

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