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マーケティングの基本はお客様の心を動かすこと。その“コンテンツ”作りには想像力が必要不可欠

Entrepreneur
2024/09/09
インタビュー
  • 186
株式会社IDEATECH 取締役
競仁志
(社会・国際学群 社会学類/2008年入学)

マーケティングの仕事はお客様の良い部分を見出し、プラスをよりプラスにしていくポジティブな仕事だと、競さん。弁護士を目指して社会学類に入学した後、オープンキャンパスや学園祭などでリーダーシップを発揮した。「将来、自分の子どもにも筑波大を薦めたい」というほど誇りに思う筑波大での経験は、たしかに今につながっているという。

同じコンテンツでも、1日のどのシーンで目にするかによって商品への印象が変わる

お仕事について教えて頂けますか。

株式会社IDEATECH(以下、アイディアテック)で取締役をやっておりまして、会社自体は2010年設立ですが、私は2019年から参加しています。

もともと弊社はPRの仕事、わかりやすく言えばテレビ番組の『ワールドビジネスサテライト』や『カンブリア宮殿』に取り上げられるにはどうしたらいいかというご相談に対して支援していた会社なのですが、2020年からはBtoB事業を行っている企業様に対して、マーケティングや営業活動の支援を行うことがメインになっています。

具体的な仕事内容は?

マーケティングや営業の基本はお客様の気を引くこと、興味や関心を持ってもらうことです。でも世の中の多くの会社は、商品を持ってお客様に会いに行き、「こういう商品があります。こういうところが良いですよ」という営業のみ担っています。そこでお客様に「要らない」と言われてしまったら、その瞬間で終わり、関係が終了します。

弊社では、例えば商品がなぜ必要とされているのか、などのデータや、業界の現状がわかるデータをアンケート調査を通じて取得し、目の前のお客様が「知りたい・知りたがる」コンテンツをクライアント様独自に作り、「商品説明してはい、終わり」で閉じない関係構築ができるよう、支援しています。
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コンテンツについて詳しく教えてください。

例えばAirPodsを商品とした場合、商品を販売するターゲットになるのはAirPodsで音楽やYouTube、ラジオを聴く人たちです。じゃあ、その人たちがAirPods以外の安いイヤホンを使っているとしましょう。

お客様に「AirPodsは高いから要らない」と断られたとしても、仮に「面白い調査があります」と切り出し、「2000~3000円のイヤホンを使っている人と、5万円の高級イヤホンを使っている人とでは人生の幸福度が違うというデータがあります」という情報をお見せします。そして最後に商品を紹介すると、その商品へのイメージが大きく変わります。

つまりコンテンツとは、商品を紹介する前の「面白いな」という関心をお客様から引き出すものなんです。

なるほど。

サッカー好きな人には、事前にリサーチをして例えば「クリスティアーノ・ロナウドはAirPodsを激推ししてますよ」という情報があれば、興味が湧きますよね?その情報こそがコンテンツです。

その情報があるかないかで、商品への購買意欲が変わりますね。このお仕事をやるに至ったきっかけは?

元々2013年にネットプロテクションズというベンチャーに入社し、そこで後払い決済事業の営業・アライアンス営業をしていました。決済は「お金のやりとり」であり、その時からお金の在り方に関して興味がありました。2015年にビットコインというものに出会い、「これからお金の在り方が変わるんじゃないのか?」と直感し、そこから少し間を経て、2017年に起業しました。
行っていた内容は、海外のブロックチェーンプロジェクトの日本進出支援です。その一環で、日本市場でのPR代行を行っていました。ただ、なかなか売り上げが伸びず、結果的に2019年に事業を停止します。その際、PR部分を支援してもらっていたのが今の社長である石川で。会社自体はこれ以上やらないことを決めていたのですが、社長から「一緒にPR事業をやらないか」と誘ってもらったのがきっかけです。

結果的に自分の会社を閉じた際、社長に誘ってもらったのがきっかけでIDEATECHに入りました。

ご自身の会社をサポートしてもらっていた関係だったのですね。

はい。入社当初はPRのコンサル業でしたが、コロナがありコンサルへの需要が低くなり、2020年、PRのために必要なリサーチとデータを作るサービスである「リサピー®︎」を立ち上げました。。紆余曲折ありましたが、今の事業は売上ゼロのところから、ようやく4年で数億円まで成長してきました。

また、それら派生形として「レポピー®︎」といったサービスも提供しています。

リサピー、レポピーとは?

リサーチとレポートという言葉に、PR(パブリックリレーションズ)、プロフィット(利益)、プロモーションの頭文字であるP(ピー)をつけて、覚えやすいサービス名にしたものです。

2020年にそのサービスを立ち上げて商品化し、販売。その際に必要な組織や組織構築は私が担当しました。

仕事をやる上で大切にしていること、こだわりはありますか。

誠実に仕事することですね。お客様にも社内でも誠実に対応してたら、よほどのことではない限りトラブルは起きないですし、自分が誠実でいれば、同じ価値観を持った気持ちの良い人たちと仕事ができます。

仕事の領域について言えば、コンテンツを作るにあたって「この人はどういうシーンで心が動くんだろう」と想像力を働かせることも大切にしていますね。
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それはなぜでしょう?

例えばXを見ている時、Facebookを見ている時、インスタグラムやTikTokを見ている時に、全く同じサプリメントの広告が出るとしますよね。同じ広告を見ているのに、どの媒体で見るかによって読み手の反応って変わるんです。

なぜかというと、Facebookを見ている時はビジネスの情報収集が目的の場合が多いので、頭の中がビジネス脳になっています。そして、Xを見ている時はビジネスパーソンで言えばビジネス的な情報収集脳。一方でTikTokやインスタは、プライベートな時間にリラックスしながら見ている人が多いので、プライベートと関連性が高いサプリメントの広告を出すのに適した媒体として考えることもできます。
もちろん、実際のところは広告を出してみないとわかりませんが、上記の仮説は立てることができます。

面白いお話ですね。

YouTubeひとつとっても、真面目系の映像を見ている時はロジカルな頭になり、スポーツ系の映像を見ている時は、スポーツへの情報に対して敏感になりませんか?

確かにそうですね。娯楽系を見ている時は、スイッチを切ってリラックスしている状態です。

そんな時に小難しいビジネスの商品を勧められても、興味が持てないですよね。寝起きか、寝る前なのかでも興味の対象は変わってきますし、人間って相対的なので、家庭内の人格と仕事での人格が違うように、1日24時間365日ずっと同じ自分ではない。

だから同じ情報に触れたとしても、1日のどのシーンで接触するかによって商品への大きく印象が変わるんです。

寝起きと寝る前では、どんな違いがありますか?

寝起きは頭がボーっとしているので、視覚よりも耳からの情報の方が入りやすくありませんか? 目から入る情報は負荷がかかるので、寝起きには向いていないと考えています。一方、寝る前はプライベートなモードなので、だらだらしながらリラックス…ということを考えると、リラックスと相性がいい商品を勧める方が効果的だとも考えられます。

そういったことを想像しながら、コンテンツ作りをしているのですね。

はい。僕が目指すゴールはお客様の心を動かして行動、購入までいってもらうことなので、コンテンツを作る上で「どんな人にどんな場面で、このコンテンツを使うべきか」と想像力を働かせることが大切になってきます。

どんな時にやりがいを感じますか?

この仕事をやっていると、次々に新しいお題が与えられるんですね。お客様の事業状況によってこちらの対策も変わりますから、毎回新しいことに対して自分のアイデアや能力を試せるという、そういうところに面白さがあります。

もう1つは、私がやっているマーケティングはお客様の良いところを見つけて、それを広げていく。つまり、プラスがさらにプラスになるように広げていく仕事なので、思考がポジティブですし、それが仕事をやっている上で心地いいと感じる点ですね。
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あの広大な空間で過ごした時間や経験は、東京では得られない

では大学時代のお話を。社会学類だったそうですね。

はい。大学の条件として、国立大学で、一人暮らしができて、卓球ができて、現役で入れるという点で探していたら筑波大にいきつきました。当時は弁護士を目指していたので、筑波大の社学は模擬裁判ができる授業があると知り、実践的なことをやるカリキュラムが面白そうだなと。一般受験で現役入学しました。

大学で卓球がやりたいと?

中学で卓球部に入り、高校時代は全国選抜シングルスで3位になりました。高校の先輩で筑波大の体育会卓球部に所属している人がいたので、私も筑波大で卓球を続けたいなと。

とはいえ卓球中心の生活を送りたかったわけではなく、一般で卓球部に入った学生は、当時は全ての練習に参加がマストということではなく柔軟な運営で、週に3日程度練習に参加していました。

成績はいかがでしたか。

全国国公立大会に出場し、団体でベスト4、ダブルスでベスト16でした。この大会には一般生で出場するという部内のルールがあり、上を目指せるチャンスなので試合前はかなり練習しました。

一般生だけが参加できるんですか?

はい。出場資格はあるんですが、スポーツ推薦で体専に入った学生が出てしまったら、軽々と優勝してしまうので(笑)。ただ、他の大学もインターハイ出場選手は当然いますし、インターハイベスト32・64のラインの選手もこの大会には出ています。

そんなに実力が違うんですね。

そこはやっぱり違いますね。また、一般生だけの役割もあって、推薦で受験する候補学生の推薦入試対策のサポートは必ず行います。例えば、小論文を添削したり、面談の練習をしたり。推薦メンバーに落ちてしまっては困るので、落第しないためのサポートをしていました(笑)。

筑波大に入って良かったことは?

大勢の人の前で話すことを経験できたことです。社学の学年代表もやっていたのですが、オープンキャンパスで高校生や親御さんの前で魅力を伝えたり、、松美記念という社学の伝統的なイベントがありまして。池で馬に扮した社学生が走るという企画なんですけど、そこで500~600人くらい?の観客の前で司会を務めたり。
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それは、なかなかできない経験ですね。

卓球部では「4年生プレゼン」と名付けて、4年生が部活や大学生活を通して考えたこと、感じたことを後輩に伝え、継承してもらうための企画を立てました。対外的に外に出ることが多かったので、そういった経験が仕事で大人数の前で話したり、営業でコミュニケーションを取る際に役立っています。

筑波大の良さとは?

良い友人、良い環境に恵まれたことですね。自然が多い、あの広大な空間の中で友達とゆるい時間を過ごしたことで友情も深まりましたし、心が豊かになった気がします。

今は東京に住んでいますが、便利だと思う一方で、物や情報が多すぎて疲れる部分もあります。筑波大での経験は東京では得られないものなので、自分の子どもにも筑波大を勧めたいと思っています。

それは良いお話ですね。

周りの友人も真面目で誠実で、自分の考えをしっかり持っている人が多く、色んな議論をしました。何事にも頑張る友達から刺激をもらうことも多かったので、非常に恵まれたなと心の底から思います。

これからの展望、目標を教えて下さい。

「IDEATECHに頼んだら価値のあるものができる」と言って頂き、BtoBのコンテンツマーケティング領域で日本一と言われる会社にすることです。

競さんご自身が成し遂げたい人生のテーマとは?

具体的なプランはありませんが、自分の子どもたちが未来に対してポジティブな展望が持てるような取り組みがしたいですね。基本、日本経済はネガティブだと思っているんですが、その中でも展望が開けるようなことを取り組みたいです。

今、目の前の仕事に全力で取り組むことで、その先のすべきことが見えてくるのではないかと考えています。

あなたの“つくばウェイ”とは?

人間としての器を磨くこと。筑波大での経験や触れ合いを通し、広い視野や視点を持つことができて、それが今につながっています。

現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

体育、芸術もある総合大学として幅広い教養、感性が磨ける場所ですし、ゆったりとした空間で過ごす学生生活はとても貴重です。自分がもう一度、大学を選ぶとしても筑波大を選ぶと思います。筑波大であること、目指すことを誇りに感じて羽ばたいて欲しいですね。
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競仁志さんが所属する
企業紹介はこちらから
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プロフィール
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競仁志(きそう ひとし)
1989年、埼玉県出身。筑波大学を卒業後、2013年にネットプロテクションズに入社。その時からお金の在り方に関して興味があり、ビットコインとの出会いをきっかけに2017年に自ら起業した。その際にPR事業を手伝っていた現社長との縁で、現在は株式会社IDEATECHの取締役を務める。お客様の心をどうやったら動かせるか、想像力を働かせながらコンテンツを作っていき、今後はBtoBのコンテンツマーケティング領域で日本一と言われる会社を目指していく。
基本情報
所属:株式会社IDEATECH
役職:取締役
出生年:1989年
血液型:A型
出身地:埼玉県
出身高校:埼玉県立熊谷高等学校
出身大学:筑波大学
筑波関連
学部:社会・国際学群 社会学類
研究室:刑法ゼミ
部活動:体育会卓球部
住んでいた場所:つくば市東平塚
行きつけのお店:焼き鳥 ふくろう
プライベート
ニックネーム:きそー
趣味:柔術・卓球
特技:なし
尊敬する人:キング牧師
年間読書数:20~30冊
心に残った本:モモ(ミヒャエル・エンデ)
心に残った映画:千と千尋の神隠し
好きなマンガ:HUNTER×HUNTER
好きなスポーツ:柔術、卓球
好きな食べ物:刺身
嫌いな食べ物:おでんの大根
訪れた国:5カ国
大切な習慣:朝の散歩
口癖は?:いいっすね!
座右の銘
  • 習慣が自分を創る

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