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日本一起業率が低い地元新潟で、起業家を育てたい

Entrepreneur
2020/12/21
インタビュー
  • 157
フラー株式会社・代表取締役会長
渋谷 修太
(筑波大学理工学群社会工学類・2009年)

高校時代の仲間の夢を叶えようと、経営を学ぶために筑波大へ。在学中に訪れたシリコンバレーに刺激を受け、仲間とスマホのアプリを開発したところヒットにつながり、若くして起業した。「波と原石を張る」というビジネス観、そして地元貢献を旗印にした壮大な夢には驚かされるが、言葉の隅々に筑波大生らしき片りんが伺える。

つくばの影響を受け、新潟ベンチャー協会を設立

まずは、現在のお仕事のお話から教えて頂けますでしょうか?

筑波大を卒業した2011年、11月にフラー株式会社を立ち上げ、現在は代表権を持ったまま会長職に就いています。

32歳で会長職ですか⁉

この年齢で会長職は早過ぎるかもしれませんが、過去数年間は、100人規模の大きな組織となったフラーの社長としてしっかりと目標を達成すること、会社を守っていくことを考えながら働いていまして。

でも僕は、学生時代から世の中を変えるために新しいことを始めるのが好きなので、新たなビジョンを掲げ、新しい仲間と世の中を変えていくために社長職を退き、現在は、フットワーク軽く動いているところです。

具体的にどんなことを?

主に3つありまして、1つめは「地域」という観点で、今年6月
にUターン移住した地元新潟で新潟ベンチャー協会を立ち上げ、代表理事を務めています。

2つめは、出身校である国立長岡工業高等専門学校の客員教授として講演を行うなど、後輩たちの役に立てるよう取り組んでいます。

3つめは起業家育成。スタートアップのアドバイスをしたり、何社かの社外役員を務め、若い起業家に僕の経験や知識を還元しています。起業して10年近くやってきましたから、彼らが無駄な遠回りをしなくて済むようにアドバイスをしています。

地域貢献や若手育成といったことが中心なのですね。

はい。新潟ベンチャー協会を立ち上げた背景には、つくば市のスタートアップ推進室の存在があります。ここ数年、スタートアップ推進室のサポートを受けた筑波大生が起業家として活躍している姿を見て、地元新潟でもそういうことができないかなと思ったんです。新潟県は起業率が日本で一番低いので、若い起業家のお手伝いがしたいなと。

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もともとご自身の起業願望はどのように芽生えたのでしょうか。

プログラマーになろうと思って高専に入りましたが、自分よりプログラマーに向いている人、得意な人がたくさんいる中で、僕は相対的に人前で話したり、人をまとめたり巻き込んだりするほうが向いていると思ったんですね。

だから友達に「皆の夢を叶えられる会社をおこすから、いつか一緒にやろう」と宣言し、高専で5年学んだ後、筑波大の3年に編入して経営を学ぶことにしました。

理工学群社会工学類に編入。なぜ筑波大に?

僕が通っていた高専からは大学の工学部にしか編入できず、工学部の中で経営が学べる大学は限られていて、その中に筑波大がありました。

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起業するためのスキルを身につけるために、筑波大にいったのですね。

そうですね。とはいえ卒業後すぐに起業せず、一度グリー株式会社に入社してから、半年後にフラーを創業しました。

それはなぜでしょう?

筑波大に在学していた時、カリフォルニア州のシリコンバレーに10日間いってみて、インターネットやITのカテゴリーで起業をしようと考えていましたが、4年次からグリーでインターンをしていたその流れで、そのまま就職することになりました。

ただ、グリーでマーケティングをやっていたおかげで、よりITへの感度が鋭くなり、2010年にiPhoneが出てきてすぐに高専時代や大学の仲間を集めて、過去に流行ったアプリを検索できるアプリを開発。それがヒットして、起業に至っています。

起業に興味のある大学生も多いと思います。卒業後すぐに起業するのか、企業に入って起業するのか、どちらが良いのでしょうか?

これでいくんだという事業や領域を持っていれば、そこにベットするのは早ければ早いほどいいと思います。僕でいう、スマホ事業のように。ただ、それが無いのであれば、企業で仕事をすることで見つかることもあると思いますよ。

渋谷さんの場合、ご自身のやりたいことよりも、「これが来そうだ」というもので勝負している?

僕が常に張っているのは、「本来価値があるんだけど、人々がそれに気づいていないもの」です。本質的に価値のあるものである場合、トライ&エラーを繰り返しながら必ずうまくいくからです。

例えば今、目をつけているのは高専生。才能がありながらも車のメーカーや家電の会社にいってしまいがちですが、彼らがITにくれば成功するだろうと。そんな気持ちで彼らにアドバイスやサポートしています。

なるほど。

それと、日本もゆくゆくはシリコンバレーのように、東京から少し離れたつくばのようなところが、ITの中心地になるのではないかと考えています。グーグルやアップル、フェイスブックの本社は、サンフランシスコから車で20分ぐらいのところにありますからね。

そのように先を読んで皆がまだ気づいていないマーケットや、価値はあるけど眠っているものが動き出すタイミングを見ながら、「波と原石を張っている」。そういった感覚で仕事をしていて、「これがすごくやりたい!」という感じではないですね。

ギャンブラーのような(笑)。

実際、カジノや麻雀は好きですよ(笑)。

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今後、どのような波がやってくると?

コロナ渦でテレワークができるようになり、ライフスタイルが多様化していく。これは巨大な波だと思いますね。東京にいなくても仕事ができますから、自分が住みたい場所や地元に帰るという、100年に一度レベルの変化が起きるはずです。

それほど大きな変化が起きそうなのですね。

僕はそう思います。100年前を振り返ると、新潟県が日本で一番人口が多かったのですが、江戸に人が集まり一極集中していきました。それが解放されるタイミングが今だと感じているので、僕が地元に恩返していることと、ビジネスとして時代の波をつかむことが合致している気がします。

そういった本質的なビジネスを3回、4回と繰り返すうちにスティーブ・ジョブスのようなことができるのではないかと思っています。

大学時代の友人は、場所は違えど一緒に戦っている仲間

これまでを振り返って、成功を収めた要因は何だと思いますか?

人に求められることをやる。そして困っている人を助けたり、喜ばれることをする、といったことが成功に結びついたのかもしれません。

哲学的な話ですけど、「人にありがたがられることをしていると、人生が豊かになっていく」と思っているので、新潟に帰って来てくれてありがとうと言われると、僕の選択は間違っていなかったんだと実感します。

そのような哲学はどこから?

会社はずっと順風満帆だったではじゃなく、経営難だった時に、日本交通の現在の会長である川鍋(一朗)さんなど何人かの人たちが助けてくれて…。困った時に助けてくれる人がいるありがたみを感じ、やはり「人が大事」だと。

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そういった経験があるからこそ、調子の良い時はできる限り人に還元して、困った時には助けてもらえる人でありたい。それがトップとしての一番の仕事だと思っています。

そういったご経験があったのですね。地域貢献としては、長岡花火の打ち上げ、そして最近ではアルビレックス新潟のオフィシャルパートナーに。

アルビレックス新潟に所属している早川史哉選手(つくばウェイvol.143で紹介)は、筑波大出身であり地元も同じなので一番応援している選手です。ツイッターでも交流しているんですよ。

筑波大生との交流は?

先ほど、新潟ベンチャー協会のアイディアになったつくば市スタートアップ推進室のことをお話ししましたが、そこで活躍する高瀬章充は、僕と同じく高専から筑波大に編入。一緒にビジネスコンテストに出たり、アプリ開発の会社の立ち上げも一緒にやりました。

常間地悟(株式会社ワープスペースCEO。つくばウェイvol.153で紹介)も僕と同じく、大学にいた頃から起業をしていたので、会社同士で野球をやるなど交流があって。筑波大で同志たちと出会えたのは嬉しいですね。

現在も交流はありますか?

そうですね。雪が降ったら新潟でスノボをしようと話していますよ。それぞれ志を持って頑張っている仲間の存在は刺激的ですし、どこの組織に所属しているかは関係なく、困っていることがあれば手伝う。場所は違えど一緒に戦っている仲間たちという感覚です。(以下写真。2018年フラー(株)主催のFuller Mobile Conferenceを訪れた共同創業者の高瀬氏と)

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今後の目標を教えて下さい。

バケットリスト(注:死ぬまでにやりたいことリスト)がありまして、死ぬまでにそれをいくつ成し遂げられるだろうと。まず長岡花火は高専生だった頃から夢で、3年前から打ち上げていますが、いつか三尺玉という一番でかい花火を打ち上げたいです。

あとアルビレックスがJ1に昇進できるようにサポートすること、日本海側にプロ野球球団がないので球団を作ること、そして佐渡島にカジノを作ること。

渋谷さんなら叶えられるのではないかと期待してしまいます。

最終的に一番でかい夢は、日本海側を超高速鉄道で結ぶことです。青森に新潟県民が行く時は、一度東京に行ってからじゃないと行けませんから、 約100年見捨てられていた日本海側を盛り上げて、青森から福岡までハイパーループという超高速鉄道で結ぶ。日本海側の経済を変えたいと、そんなことを妄想しながら生きています。

ダイナミックな発想に脱帽です。

ただアホなだけですよ(笑)。でも、夢を叶えるのは僕の生きがいですから、共感し合える仲間を集めて目標に向かって進んでいこうと思います。(写真はスポンサリングしているアルビを応援している様子)

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あなたの“つくばウェイ”とは?

トレンドに流されず自分で考えること。東京から少し離れているつくばでは、本質的なことを一歩引いて考えられます。とはいえ全国からスポーツや勉強などトップレベルの人が集まり、独特のカルチャーを作っている。都会すぎず、ダイバーシティとして色んな人が集まっている貴重な場所だと思います。

現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

コンパクトな大学にスポーツをしている人、研究者になる人、会社を興す人、色んな人が集まって「面白い人たちのるつぼ」だと思います。ただ、それをどう生かすかは自分次第。つくばのコミュニティには価値がありますから、それを皆さんの人生に生かして欲しいですね。

渋谷 修太さんが所属する
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プロフィール
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渋谷 修太(しぶや しゅうた)
フラー株式会社代表取締役会長。今注目の若い起業家、経営者。 会長職に就きながら経営権を維持し更なる事業展開を図りつつ、次世代の育成や地域貢献に関わる。 高校時代に生まれた起業マインドや大学時代に没頭したアプリ開発など、過去の経験を生かして着実にステップアップしつつ将来の大きな夢に向けて、今を力強く、そして楽しく生きる姿は周囲を魅了する。
基本情報
所属:フラー株式会社
役職:代表取締役会長
出生年:1988年
血液型:B型
出身地:新潟県
出身高校:長岡工業高等専門学校
出身大学:筑波大学
所属団体、肩書き等
  • フラー株式会社、代表取締役会長
  • 新潟経済同友会2 0 4 0・アントレプレナー委員会 所属
  • 新潟ベンチャー協会 代表理事
  • 長岡高専 客員教授
筑波関連
学部:理工学群社会工学類
研究室:システム情報工学研究室
住んでいた場所:天久保3丁目
行きつけのお店:活龍
プライベート
ニックネーム:しぶや
趣味:サウナ、麻雀、キャンプ、スポーツ観戦、読書
特技:速読
尊敬する人:上杉謙信、田中角栄
年間読書数:100冊
心に残った本:後世への最大遺物
心に残った映画:天使のくれた時間
好きなマンガ:キングダム、ワンピース、三国志
好きなスポーツ:野球、サッカー、卓球
好きな食べ物:寿司、カシミールカレー、新潟の枝豆!
嫌いな食べ物:美味しくない米
訪れた国:アメリカ、韓国、中国、シンガポール、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、アイルランド、ドバイ、フィリピン、オーストラリア・・・忘れた
大切な習慣:とにかくもやっとしたらサウナ。定期的に親友に会う。
口癖は?:やっちゃえばいいじゃん!

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