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高橋スライダー

すべては「現実を動かす言葉」を書くために

Professional
2019/01/14
インタビュー
  • 122
株式会社電通 コピーライター
髙橋 慶生
(体育専門学群 2002年入学)

スポーツに携わる仕事がしたいと進学した筑波大でスポーツビジネスを学び、広告会社へ。コピーライターとして活躍するが、学生時代は、自分がクリエーティブの仕事に就くことは想像していなかったという。「アスリートとコピーライターは似ている」と考えるに至った道のりは、どのようなものだったのだろうか。

アイディアを出す力は、鍛えられる。

今のお仕事について教えて下さい。

広告会社でコピーライターをしています。「一行のキャッチコピーを書く人」というイメージがあるかもしれませんが、実際はもう少し範囲が広いです。「言葉を使って、いろんなことを企画する人」という感じです。CMの企画、新商品のネーミング、経営者のスピーチ・・・。すべてに共通するのは、相手の本質を見つめて、いいところを引き出し、世の中に伝えていくこと。コピーを書くのは、最後の仕上げですね。

いきなり「書く」わけではないのですね。

やはり最初は、とにかく「聞く」ことから始めます。自分を表現するのではなくて、あくまで対象となる企業や商品を魅力的に、わかりやすく伝えることが仕事なので。ときどき「他己紹介」ってやりますよね。長所や特徴を捉えるほど、その人がチャーミングに見えてくるのと同じです。

もともと興味があった分野だったのですか?

実は、具体的な職業としては想像もしていませんでした。筑波大に入ったのも、スポーツの仕事がしたいという動機でしたから。

スポーツの仕事がやりたかったとは?

小さい頃から野球をやってきて、スポーツに育てられたという思いがあって。高校生の時点ではそこまで具体的にイメージできていませんでしたが、スポーツで幸せになる人を増やしたい、大学ではそのための勉強をしたい、と考えていました。

ちょうど高校3年のとき、筑波大生の先輩が保健体育の教育実習に来てくれたんですね。その先輩が入試や寮のことなど、親身になって相談に乗ってくれて、絶対自分もここに行きたいなと受験しました。

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どんな大学生活でしたか?

準硬式野球部に所属していました。練習がない日は、使われてないグラウンドの隅っこやトレーニングルームで自主練習したりして。2年秋の東都リーグ2部で優勝して、1部に昇格したこと、そのあと東都選抜の一員として九州遠征にいったことが思い出です。保健体育の教育実習で3週間、附属高校に泊まり込んだこともいい経験でした。

印象に残っていることはありますか。

特に体育専門学群は日本中から、多彩な人たちが集まっていた印象です。いろんな地方の方言に詳しくなりました(笑)。推薦入学の人は、全国大会ベスト8以上のトップアスリート。昨日まで隣りで授業を受けていた人が、次の週には柔道の世界大会で優勝していたり。そういう人たちの考え方とかオーラに触れられたことも、刺激になりましたね。

筑波大に入って良かったことは?

自由な環境で4年間、やりたいように過ごせたことに尽きます。筑波大OBのコピーライター、一倉宏さん(つくばウェイVOL.49で紹介)が書かれた大学のスローガン“IMAGINE THE FUTURE.”は、卒業生としてもすごく腑に落ちるし、筑波らしくて、素晴らしい言葉だと思っています。

2006年に電通に入社。コピーライターとしての採用だったのでしょうか。

いえ、いわゆる総合職の採用です。入社後に全員が受ける「クリエーティブ適性試験」を経て、2年目からコピーライターとして働いています。

才能が見い出されたのですね

周りを見渡しても、自分に才能があるとは全く思えないですけどね。謙遜ではなく。ただ、コピーを書く力は「鍛錬可能」だな、とは思いました。配属されて、割とすぐのことです。

アイディアを出すって、それこそ才能というイメージがあったんですが、実はスポーツと一緒で、正しく鍛えることで確実に強くできる「技術」の要素も大きいのではないかと。

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スポーツのトレーニングとも共通点があるのでしょうか?

というか、まさにそのものです。たとえばバッティングの上達のステップを考えると、正しいフォームを頭で理解する → それを身体で表現できるようにする → 再現性の精度を高める、の大きく3つに分けられます。それと全く同じことを繰り返します。

「写経」という古典的なトレーニング方法があります。ボディコピーだったりCMのスクリプトを、何度も書き写していくんです。ただ書くだけでなく、どういうアタマの使い方をすると、このコピーが書けるのだろう?と追体験する。それを大量に繰り返すと、いくつかの「型」が見えてきて、自分なりのフォームもだんだん見えてきます。それを実際の現場で試行錯誤しながら、磨いていきます。

自分の周囲でも、すごいなと思う人ほど例外なく、過去の作品や歴史がきっちり頭に入っています。型があるから型破りになれる、とはよく言ったものですね。

コピーはどのように書くのですか。

とにかく「手を動かして考える」ようにしています。思いついたことをどんどん書き出す。PCに打ち込む。思考を広げるだけ広げて、そこから絞っていくことで、精度を高めていきます。大部分は捨てることになるのですが、深く掘り下げて考えようと思ったら、まずは広く大きく地面を耕す必要がある、というイメージです。

コピーライターの仕事の面白さとは。

発見と上達、と自分の中で定義しています。いいこと思いついた!とテンションが上がる発見の瞬間と、積み重ねていくなかで、少しずつコピーだったり考えることが上手くなっていく上達のプロセスです。しんどいけど、飽きないです。種目が変わっただけで、スポーツを毎日やっている感覚に近いかもしれません。

 

コピーライターにできることは、もっとある

2017年から、新たなチャレンジの場に身を置かれているそうですね。

そうなんです。新設部署の「電通ビジネスデザインスクエア」に、社内公募で異動しました。

ここで扱うのは広告だけでなく、経営や事業開発、人事など多岐にわたります。例えば「そもそも何が課題なんだろう?」というところから相手企業と一緒に考えたりもします。

コンサルタントのような役割でしょうか。

イメージとしては近いところもあります。違うのは、コピーライターや戦略プランナー、デザイナーなど広告のクリエーターたちでチームを組むことですね。広告をつくるスキルは、広告以外の場所でも活かせるのでは?というのが根本の姿勢で、そういった志向をもった専門職の人が、社内外から集まってきています。

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コピーライターの仕事とはずいぶんイメージが違うようにも感じます

自分としては、地続きという感覚です。コピーライターは、キャッチフレーズを書くだけではなく、本質をつかまえて、それを伝わる言葉に「結晶化する」仕事です。その力が求められている場所は、きっとたくさんあるはずです。実際できているかというと、まだまだですけど。

具体的には、どんな仕事を手がけられていますか。

たとえば経営者のスピーチ原稿を書く、経営ビジョンを開発する、社内の組織改革をサポートする・・・といった感じで、案件ごとに関わり方も、やり方も、すごく幅広いです。言葉を起点に「いい変化を起こす」ことに挑戦している感じです。あまり具体的に言えなくて申し訳ないのですが。

経営者と向き合うこともあるのですね。

そうですね。コピーライターの名刺を出した時点で「言葉担当の人ね」と認識されるので、これまで以上に、プロとしての的確なアウトプットが求められると感じています。特に経営者の意志や情熱を、社内にも世の中にも伝わる形に翻訳するという仕事は、とてもやりがいがあります。簡単ではないですが。

そのとき、特に意識されていることは。

いかに「伝わる言葉」にするか、に尽きるのですが、その業界や会社に関する専門知識がない自分が聞いたとしても、すっと理解できるように書くことです。「ひらいた言葉にする」と言ったりもします。

本当に突き詰めて考えていくと、最終的にはとてもシンプルな結論にたどり着くはずで、人間ってこうだよね、とか、普遍的な答えになるまで何度もシミュレーションします。

仕事で辛いと思ったことは。

毎回が何かのチャレンジなので、ラクな仕事というのはひとつもないのですが、それも競技スポーツと同じですね。だからこそやりがいもあるし、もっと上手になりたいと思えます。

やはり、そこでもスポーツとの関連があるのですね。

しつこくてすいません(笑)。ただ、今までできなかったことが、ひとつずつできるようになっていく過程が本当に楽しいですね。何かに打ち込んだことのある人には、共感してもらえるはずなんですけど。

いまの部署でのやりがいは何でしょう。

ヘンな言い方ですが、できないことがどんどん見つかることが、実はすごく貴重なことだと考えています。そのたびに落ち込んだりもしますが、そこに自分の可能性とか、上達のヒントがあるはずだと。できないことは、ふえるほうがいい。と半分、自分に言い聞かせるように思っています。そうやって、できることの幅と高さを広げていければ、と。野球でも仕事でも、「もっと上手なりたい」というのが、いちばんの原動力になっています。

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今後の目標や夢を教えて下さい。

「言葉」が必要とされるさまざまな場所で、もっと力を発揮できるといいですね。現実を動かす言葉、と表現しているんですけど、耳あたりのいいフレーズで終わらず、企業の未来を指し示す北極星になったり、そこで働くひとの羅針盤になったり・・・その言葉が存在する前と後で、1mmでも現実を動かすという仕事をしていたいなと思います。

スポーツの仕事がしたいという思いに、変化はありますか。

そこは、やはり変わらないです。これまでの経験を生かして、スポーツの世界で貢献できることはたくさんあると思っています。体育学部を出たコピーライター、という人もそうは多くないでしょうから。

クリエーティブの仕事を目指す学生に、アドバイスをお願いします!

ものごとの上達プロセスには普遍性があるはずなので、好きなことにのめり込んで、もがきながら上手になっていく経験を積むこと、でしょうか。自分の場合は、野球で培ったことが確実に仕事で活きているので。

筑波大での経験が、今につながっているんですね。

本当にそう思いますね。いや、言わされているわけではなく。たとえば、会議室で実際にスライダーを投げる場面はありませんが(笑)、スライダーを習得するために試行錯誤したプロセスはムダになることはありません。コピーライターに限らず、どんな仕事でも言えるかもしれませんが。

あなたの“つくばウェイ”とは?

意志を持ち続けること。回り道になることを恐れずに。

現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

卒業してから筑波大を訪れることを「つくばに帰る」と表現するOBOGが多いんですが、「帰る」っていいですよね。きっと、卒業後は自然と口にしてしまうはずです。

髙橋 慶生さんが所属する
企業紹介はこちらから
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プロフィール
高橋プロフィール
髙橋 慶生(たかはし よしお)
1984年3月大阪府生まれ。大阪府立茨木高校を経て、筑波大学体育専門学群へ。準硬式野球部では投手として、東都大学リーグ選抜チームでもプレー。体育経営学を専攻し、卒業論文は「スポーツ観戦における享受能力とは何か」。2006年、株式会社電通に入社。コピーライターとして数多くの企業の仕事に携わっている。
基本情報
所属:株式会社電通 電通ビジネスデザインスクエア 未来創造室
役職:コピーライター
出生年:1984年
出身高校:大阪府立茨木高校
出身大学:筑波大学 体育専門学群
筑波関連
学部:体育専門学群
研究室:体育経営学研究室
部活動:準硬式野球部
住んでいた場所:天久保2丁目
行きつけのお店:富士泉
プライベート
趣味:初動負荷トレーニング
年間読書数:50冊くらい
心に残った本:調理場という戦場(斉須政雄)、蜜蜂と遠雷(恩田陸)、孤宿の人(宮部みゆき)
大切な習慣:「ありがとう」と「ごめんなさい」を、ちゃんと言うこと。
座右の銘
  • いちばん謙虚な人が、いちばん強い。

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