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網岡スライダー

スポーツビジネスの原点は、ダンスサークルの”チラシ配り”

Professional
2020/04/06
インタビュー
  • 149
株式会社サニーサイドアップ 3局スポーツ3部 副部長
網岡 太郎
(体育専門学群 2009年)

「プレーするのも観戦するのも好き。とにかくスポーツが好き」。そんな気持ちで筑波大に入学し、所属していたダンスサークルのイベント集客のためのチラシ配りなどを通して、自らの進むべき道を見出した。今はPR会社のスポーツマーケティングセクションに所属し、多くの人にスポーツの魅力を届けるための企画を次々に生み出し実施している。その根底にあるスポーツへの思いとは?

「ここに来てよかったのだろうか」と入学1カ月でホームシックに

筑波大に入った経緯を教えて下さい。

高校3年生の時に何も考えずに周囲と同じ大学、学部を受験し、大学受験に失敗しました。浪人が決まったタイミングで改めて進路を考えた時、「自分が好きなことをしてご飯が食べたい」「自分の好きなことで学びを得たい」と思いました。

じゃあ何をするかというと、僕は昔からスポーツが大好きだったので体育の先生を目指そうと。安直ですよね(笑) 高校に筑波大出身の先生がいて「スポーツの勉強をするには筑波大が一番」と言われていたのと、バラエティ番組『めちゃイケ』を通して筑波大のことを知っていたことが、筑波大を目指すきっかけになりました。

それまで、スポーツにどう親しんできましたか。

小さい頃から野球にサッカー、水泳と体を動かすことが好きでしたし、阪神ファンの祖父の影響でスポーツニュースを観たり、新聞のスポーツ面を読むのが好きでした。人生の中心にいつもスポーツがあったという感じですね。

筑波大に入っていかがでしたか?

浪人時代、大学に入ることをゴールにしてしまったので、恥ずかしい話ですが最初の1カ月でホームシックになってしまって…。ゴールデンウィークに一度、地元の大阪に帰ったんです。

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退学しようと?

その気持ちもありました。僕のリサーチ不足が原因なのですが、大学に入ってみると体専の人は9割9分の人が何かしらの体育会の部活に入るんですね。
しかも体専は部活内で大方のコミュニティができてしまうので、当時の僕は「部活に入らないと大学生活を充実したものに出来ないんじゃないか」と。それで色んな部活に見学に行ったんですけど、決めきれず。この時に周囲の人にかなり迷惑をかけたことを今でも覚えています。

そんなことがあったのですね。

大阪に帰って色々考えて、親や友人とも話してもう一度頑張ろうと。筑波に戻ってきてからは、体育館のウエイトルームでトレーニングをしたり、外周を走ったり。
そんな時、REAL JAMというダンスサークルと出会ったのがきっかけで、ダンスを始めたんです。

ダンスに興味があったのですか?

それまでの人生で、ダンスに興味を持ったことなんて一度もなかったですよ。ところがブレイクダンスを通して、1つのスキルを得ていくことに魅力を感じて、どんどんのめり込んでいきました。今思うとなんで頭で回ったりしたんだろうとふと思いますが(笑)

あとはずっとスポーツをやってきた僕にとって、REAL JAMが思った以上に体育会系だったことも続けられた要因だと思います。昼も夜もずっと練習する、そういう人たちの集まりでしたから。

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体専でREAL JAMに入っている人は珍しいのでは。

東方神起やw-indsのバックダンサーをしているACHIさんは体専出身です。もともとサッカーをやっていたそうですが、REAL JAMに入ったと聞きました。でも、そんなに多くはないです。

どれぐらいのメンバーが在籍していたのですか。

僕が3年生で部長をやっていた時は約100人ぐらいですね。体専以外がほとんどですし、筑波技術大学の学生などもいました。ただこのサークルのおかげで、色んな人と交流を持つ機会に恵まれました。

学業面ではいかがでしたか?

松田裕雄さん授業で、スポーツビジネス界の人たちがビジネスの最前線を教えてくれる機会があり、大きな影響を受けました。
特に「スポーツ産業人育成プロジェクト」の中で、2~3週間ほどロサンゼルスに行って、UCLAのスポーツ活用であったり、アーバインという街がスポーツを活用した街づくりを行っていたり、スポーツマネジメントの最前線を体験できたことは今の仕事に繋がっていると感じます。

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就職についてはどう考えていましたか。

そういった授業を通してスポーツビジネスに興味を持つようになり、もっとたくさんの色んな人にスポーツのことを知ってもらうための広告やPRという仕事があることを知り、興味を持つようになりました。

スポーツビジネスの中でも、なぜ告知やPRに興味を?

サークルのイベントを告知するためにチラシ配って、「来て下さい!」と勧誘しているうちに、自分たちが良いと思っていても、イベントのことを知ってもらえなければ人は来てくれない、中身の魅力が届けばもっと人が集まるようになるのに、と、そんなことを感じていました。

他の部活の試合もよく観に行っていたのですが、満席になっていない部活の試合を見ながら、「競技力の高い選手がこんなに頑張っているのに観客が集まらない。プロモーションの面で足りない部分があるんじゃないか」と感じ、スポーツのプロモーション事業を行っている今の会社を受けることにしました。

スポーツの醍醐味は、
会場でしか味わえない“熱気”

アスリートのマネジメントを始め、スポーツビジネスを得意としている株式会社サニーサイドアップ。どんなところに魅力を感じましたか?

サニーサイドアップが、丸の内仲通りを貸し切って“東京ストリート陸上”というイベントを開催した時、陸上は競技場でやらなければいけないという固定概念を打ち破る発想がすごいと単純に驚きました。

特に陸上に興味があったわけではない僕がイベントそのものに心をつかまれ、そういったことを行っている会社で僕も働きたいと思いました。

入社してみて、いかがでしたか。

最初は全くスポーツに関係する仕事ができず、フラストレーションでしたね(笑)。
「今まで全く興味がなかった飲食やコスメ、IT企業のPRなんて、僕にできるのだろうか」と。ところが、その下積みの間に飲食系や女性系のメディアに対して営業活動を行ったことが、今、スポーツのPRを行う際に非常に役立っています。

スポーツを幅広い人に見てもらうには、コアなファンを大切にしながらもスポーツファン以外が目にするメディアにも訴えていかなければならない――そんな課題に直面した際、下積み時代に培ったコネクションを大いに活用していますか。またスポーツばかりしていた自分にとって、今まで触れてきたことない知見を得られたのはこの会社に入ったからだなと思っています。

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具体的に、どのようなお仕事をされましたか?

サッカーJリーグに所属するチームのプロモーションを行っています。
最近だと11月末にガールズシートを作り、約30人の女性を呼んでイベントを開催しました。サッカーが目当てというよりはスタジアムグルメを楽しんでもらったり、美容セミナーやヘアメアレンジ体験が出来るといった女性が喜ぶであろうコンテンツを用意し、その後にサッカー観戦も楽しんでいただくというものです。
来年は、チームとも相談ですがガールズデイとして大々的に開催出来たらいいなと思っています。

面白い企画ですね。

僕自身もずっとスポーツをやって来た人間なのでスポーツ愛が強いんですが、実はスポーツが好きでなかったり、スポーツに興味のない人の方が実は多いんですよね。そこを理解せずに競技の結果や選手のスキルだけを発信しても届かないんです。スポーツ好きな方は良いですが、そうでない人たちを取り囲もうとしたときにどういうことをしてくれたらスタジアムに来てくれるだろう、もし来たら何を楽しんでもらえばいいだろうというのはいつも考えています、癖ですね(笑) スポーツ以外のことを生業にしたからこそ、この視点が生まれたと思っています。

全ての経験が生きているのですね。

そうだと思います。そして“HEROs”という日本財団さんとの企画は、特に思い入れがあります。これは、アスリートによる社会貢献活動を「HEROs ACADEMY」「HEROs ACTION」「HEROs AWARD」という3つのプロジェクトに分け、それぞれ「教育」「実践」「評価」ができる場を設けました。

海外ではテニスのフェデラーや陸上のボルトのように、引退後だけではなく現役中から社会貢献活動をすることがスタンダードで、現役時代にやるからこそ意味があると考えている選手が多いです。それが日本でも当たり前になれば、アスリートが競技だけではないシーンでも価値を提供できて、もっと日本でスポーツの価値を上げていける可能性がある。

先ほど思い入れがあると言ったのは、スポーツ少年でありながらもアスリートにはなれなかった僕が、HEROsを通してアスリートの価値を最大限に高めるといった点で、「彼らの力になれている」といったやりがいを感じるからです。

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社会的に影響のある、やりがいのあるお仕事です。

基本的に仕事はしんどいものですよ。自分が企画したものが全て形になるとは限らないし先ほどお話した通り、もともと全く知識がない分野を担当しなければならないことも時にはありますから。

それでもモチベーションを高く保つことが、仕事のやりがいにつながると思うんです。例えばやましいかもしれませんが、「コスメの知識を持っていたら、女性にモテるはず」とか(笑)。そのように発想を転換し、前向きに取り組むことで、毎日楽しく仕事に打ち込むことが出来る。「女性って、メイクのためにこんなに頑張っているんだ」ということに気付くことができる。そして、その発見が新しい企画を生むといった感じです。

なるほど。

興味のないことに取り組む時ほど、いかに頑張れるかが大事ですよね。上に与えられたという気持ちのままだと、自分の仕事として身につかないですから。

それが網岡さんの“仕事へのこだわり”ですか?

そうですね。「楽しく仕事をする」というのは決めています。新入社員の時、トレーニング的に電話を1日100件かけるであるとか、精神的にキツい仕事でも、電話口の人に僕の“アミオカ”という珍しい名字を電話口の相手に言ってもらえるよう工夫をしたり、会話が続くようにユニークな話題を提供したり。まるでゲームのように、やりとりを楽しんでいました。ガチャ切りもたくさんありましたけどね(笑)
辛い時こそ自分が試されていると。人生で辛い時ってそうないじゃないですが、そんな時は逆にチャンスと思うようにしていますね、まだ成長できるなって。

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では、筑波大での経験が今につながっていると感じることは?

友人関係ですね。今でも同級生だけでも10人ほど定期的に会っている友達がいて、ご飯に行ったりします。今もアスリートとして頑張っている人、競技は引退したけど一流の企業で働いている人など色んな友達がいて、彼らとコミュニケーションをとることは僕を成長させてくれますし、大阪にいては出会えない、筑波大の体専に行ったからこその出会いだと思います。

また体専での友人関係が仕事でも役に立つことがあります。「●●の友達なんだ」っていうところから仕事が始まると、すごくラクです。誰かの知り合い、友達っていうだけでハードルが下がりますから、それも良かった点ですね。

スポーツの魅力を一言でいうと?

熱気、この一言に尽きます。アスリートやサポーターの熱気は画面越しではなく、極力現場に行くようにしています。嬉しくて泣くことって人生でなかなかないと思うんですけど、スポーツの現場にはそれがある。なので仕事とは全く関係なく野球やサッカーみたいなメジャースポーツだけでなく、バレーボールやハンドボール、更にはパラ競技なども試合を観に行きますね。

そこにお金を払う意義があると感じていますし、イベントを企画し、実施する立場としては、皆さんにお金が払う意義があると感じてもらえるような面白い企画を、これからもどんどん提案して実施していきたいと思います。

あなたの“つくばウェイ”とは?

多種多様な人がいることを受け入れられる土壌。色んなことを知ろうと思えるようになった土壌は筑波大のおかげだと思います。それが今の僕の人生につながっているので、その経験があって良かったです。

現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

筑波から東京に出て行くことは意外とハードルが高いと思うので、例えば体専なら、その中のコミュニティを大切にしながら、他の学群の人とも交流を持つなど、あの学園都市を最大限に利用して欲しいですね。そして、色んな人の価値観に触れることで「答えは1つじゃない」ということを知って欲しいです。特に壁にぶつかって自分自身で答えを見出せない時は、色んな人に会って話して、色んな答えに触れる。そうしがら自分なりの答えを導き出しながら、大学生活を謳歌して欲しいです。

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プロフィール
網岡プロフィール
網岡 太郎(あみおか たろう)
1990年大阪府茨木市出身。府立春日丘高校卒業後、1年間の浪人を経て筑波大学体育専門学群に入学。入学後は、ダンスサークルREAL JAMに入部しダンスに明け暮れる日々を送る。新卒でサニーサイドアップに入社し、現在は若干29歳ながら、スポーツ局3部の副部長としてスポーツ界を盛り上げるべく尽力している。
基本情報
所属:株式会社サニーサイドアップ
役職:3局スポーツ3部 副部長
出生年:1990年
血液型:AB型
出身地:大阪府
出身高校:大阪府立春日丘高校
出身大学:筑波大学 体育専門学群
筑波関連
学部:体育専門学群
研究室:運動学研究室
部活動:REALJAM(ストリートダンスサークル)
住んでいた場所:春日3丁目
行きつけのお店:あじよし
プライベート
ニックネーム:たろう、たろぽん
趣味:キャンプ、ランニング
特技:ヘッドスピン
尊敬する人:両親
年間読書数:20冊
心に残った本:「ない仕事」の作り方(みうらじゅん著)、横浜ストロングスタイル(池田純著)
心に残った映画:GO、スポーツならマネーボール
好きなマンガ:スポーツ全般(サッカーはファンタジスタとGIANT KILLING、 バスケはスラムダンク、野球はドカベンやダイヤのAなど)
好きなスポーツ:スポーツは何でも好きです
好きな食べ物:焼肉、オムライス
嫌いな食べ物:特になし
訪れた国:20か国くらい
大切な習慣:エスカレーターを使わず階段を登る
口癖は?:せやな、デカい!

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