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「選手である前に学生であること」。恩師の教えが今につながっている

Sportsperson
2022/09/25
インタビュー
  • 172
琉球ゴールデンキングス Bリーガー
牧隼利
(体育専門学群・2016年)

大学4年次に主将を務め、チームをインカレ優勝へと導いた。プレイヤーとしての実力だけでなくチームをまとめ上げる才を持つ、その背景には高校、大学時代の恩師の存在がある。現役選手としては珍しく、SNSでアスリートのセカンドキャリアに関して問題提起するといった今のスタイルを確立するまでに、どんな道のりを歩んだのだろうか。

勝つために必要な人間をAチームにと、
先生に直談判した

―バスケットボールの名門、福岡県の大濠高校出身。そこからなぜ筑波大に進もうと?

 

高校時代のコーチである片峯(聡太)先生が筑波大出身だったので、その影響で迷うことなく筑波大に進学しました。

当時はまだバスケットボールのプロ制度がなく、高校卒業してプロを目指せる環境がなかったですし、大学にいって最低限の保険として教員免許を取ろうと考えました。

―筑波大での生活はいかがでしたか。

 

他競技でもトップレベルを目指している人が多いので、そういう人たちと関われたことはすごく良かったなと思います。

一方で、同じ部活内の学生はバスケが目的で大学に来ている人ばかりではなく、勉強にも熱心に取り組んでいる。そういった友達から受ける影響も大きかったです。

―学生時代、プロになる以外のキャリアを模索したことは?

 

周りの友達が1年間ぐらい就活に時間を費やしていたのを見て「大丈夫か、自分⁉」と思うことは時々ありましたけど、バスケットボール選手になりたい気持ちが強かったので「プロになるんだ」と、疑うことなく練習に取り組んでいましたね。

―当時、影響を受けた人やターニングポイントになった出来事はありますか?

 

バスケ部のヘッドコーチである吉田(健司)先生の影響は大きかったです。バスケットボールがめちゃめちゃ好きな先生で、戦術や動きを丁寧に教えてくれながらも、僕たち学生が意見を言えば聞いてくれて。
学生だけで考える余白を与えてくれたおかげで、自分で考える力が養われたと思います。

大学の提出物を出さないと部活に参加させないという先生の方針があったので、自然と学業にも意識が向きましたし、高校時代の片峯先生と吉田先生、どちらにも共通していたのは「選手である前に学生であること」という教え。
そういった意識を持たせてくれたおかげで、今の僕があると思っています。

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―当時の経験は、今の仕事にどうつながっていますか?

 

スポーツにおいては、プロレベルになると1人1人の身体能力やスキルが高いのは当たり前なので、それ以外に「自分で考える力」が必要になってきます。
例えば僕と同じ能力を持っている選手がいた場合でも、「自分で考える力」があるかどうかで、選手としてのキャリアに大きな差がつきます。

高校、大学を通してその力をつけられたのは財産ですし、バスケットボール選手としての自分の強みになっていると思います。

―牧さんは大学時代にキャプテンを務め、タイトルを獲っています。勝てるチームのキャプテンとして、どんなことを意識していましたか。

 

自分1人の力でタイトルが獲れたわけではないので偉そうなことは言えませんが、試合に出られなくても必死に応援してくれるBチームの存在は大事にしていましたね。

―大事にするとは?

 

試合に出られるAチームは推薦で大学に来ているメンバーが中心でしたが、1年に数回、入れ替えがあって。毎回Bチームから1、2人がAチームに上がるんです。

その入れ替えの際、Bチームにいた医学部の仲間をAチームに入れて欲しいと先生に打診したことがありました。

―なぜでしょう?

 

競技の実力的にはまだ課題はありましたが、彼の人柄だったり、取り組む姿勢、キャラクターがチーム全体を盛り上げてくれるだろうと。そういう存在は絶対、チームに必要だと思ったからです。

結果、勝てるチームになりましたし、そういう役割を担ってくれる人の大切さを身をもって知ることができた良い経験でした。

―推薦の学生と一般の学生の間で化学反応が起きたのですね。

 

そうだと思います。コロナの影響もあって彼に会う機会はあまりありませんが、今年から医者として医療現場に出ているはずですから、僕も負けてられないと。そう思わされる存在です。

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―では、部活以外ではどんな学生生活でしたか。

 

本当に普通の学生でしたね。ちゃんと授業に出て、終わったら部活にいく。部活のメンバーはテスト前にファミレスで集まって勉強していましたけど、結局、楽しくなって勉強が進まないので(笑)
僕は家で1人で2時間ぐらい勉強して、早く寝る。そういうタイプでした。

―効率よく勉強していたのですね。

 

そうですね。100点取れなくていいから、確実に60~70点を狙おうと。確実に単位を取る戦法でいってました。

―バスケに関しても、そういう考え方ですか?

 

バスケに関しては、100の力で臨むことは当然ですが、練習に関しては無駄なことをするのが昔から好きではなくて。例えば走り込みをさせられると「これは本当に必要なことなんだろうか?」と考えたり。

―ただ、やみくもにやることに疑問を感じていたのですね。

 

はい。だから、論理的に指導してくれる指導者に恵まれたことに感謝しています。そういった意味でも、筑波大は良い環境だったと思います。

―吉田先生が論理的な指導者だったということですね。

 

そうですね。その一方で、試合の勝負どころでは熱い気持ちを全面に出して下さるんです。8割は理論で、2割は感情というバランスが良く、「この人についていけば大丈夫」という信頼感がありました。

―ご自身のバランスはいかがでしょうか。

 

「理論100,感情100」です。何かを始めるには感情の部分が大事ですし、やりたいことを続けていくためには理論の部分が大事。プロでやるなら「両方100でいく」。それぐらいの気持ちを持っていないと務まらないかもしれません。

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―感情100で向き合えるものが見つからない学生にアドバイスはありますか?

 

人とのつながりを大事にして欲しいですね。僕の場合は部活を通して医学部の友人から影響を受けることがあったように、色んな人とのつながりを大事にすることで何か新しいものに出合えたり、大切なことに気付いたりできると思います。

SNSで発信することで、意識や思考が整理される

―筑波大で培った「自分で考える力」は、VoicyなどSNSでの発言にも表れています。「バスケットボールプレイヤーの価値」「プロ選手の引退後」をテーマに問題提起していますね。

 

コロナで考える時間ができたことで何かを発信しようと、しょうもない自分のプライベートなことから思考的なことまで、幅広く発信しています。

選手人生が終わったらどうするのかということに関して、あえて公に発信することで、自分の意識や思考が整理されたり、変化していくことを感じています。

―アプトプットすることで、より新しい情報や思考がインプットできるような。

 

そうですね。色んな所から情報を取るようにしています。

―Voicyでは、サッカー選手のセカンドキャリアについて描かれているドラマ『オールドルーキー』にも触れていましたね。

 

プロスポーツ選手のセカンドキャリアについてドラマで取り上げられるということは、現実的に起こっている、世間の人から共感を得られる題材になっているんだなという驚きがあったので、Voicyで発信しました。

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―現状、バスケットボール選手のセカンドキャリアは?

 

プロ化してまだ5、6年なのでプロとして引退した選手が少なく、これからセカンドキャリアの問題が出てくると思います。

―セカンドキャリアを見据えて行動されていることはありますか。

 

色んな人に話を聞くことですね。その中で僕が感じたのは、自分の生き様を持っている人、哲学を持っている人はかっこいいということです。

例えばアスリートでいうと、最近、糖質制限が流行っている、脂質制限が流行っているといった情報に触れた際に、その情報の良い面、悪い面を理解した上で、ブレずに自分の答えを持っている人はかっこいいですし、自分もそうありたいなと。

―SNSで発信すると、賛否両論、様々な意見を目にすることが増えるのでは。

 

「デュアルキャリアを形成したい」と発言した際は、「アスリートなんだから、スポーツだけやっていればいい」というコメントを頂くこともありました。

でも僕はセカンドキャリアを見据えながらもプロとして100の力でやっている自信があるから、自分の軸を持った上で色んな情報に触れ、感じたことをこれからも発信していこうと思います。

―インタビュー記事など、ご自身の発言が記事化される立場でありながら、SNSで自分の言葉で発信することの良さとは?

 

メディアに取り上げられる時は、どうしてもアスリートの部分だけがフォーカスされてしまいますよね。でも実際の僕は、いたって普通の人間で(笑)。セカンドキャリアについて考えていることもそうだし、なんてことないプライベートも含めて、人間的な部分を知ってもらえるのがSNSの良さだと思います。

 

―これは極端な質問ですが、現時点で、どんな仕事でも経験できるとしたら何をしますか?

 

バスケチームのオーナーですね。経営という視点で自分の好きなバスケを動かせるのは面白そうだなと。

―それが実際、牧さんの将来像でもありますか?

 

すごく興味ありますね。人に指示されるよりも、自分で考えてやってみたいという気持ちが強いので。

もちろん今は、1つ1つの勝利、タイトル獲得を目指してチームを優勝に導きたいという目標に向かって突き進んでいますが、次のステップに進む時がきたら、これまで学んできたことや経験を生かした選択ができればと思います。

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―あなたの“つくばウェイ”とは?

 

筑波大にはある一定の情熱と、論理的に考える思考が組み合わさった空気感があります。在学中だけでなく卒業後も、年齢や部活を通り越して同じ空気感を持った者同士で話せることが魅力だと思います。

―現役大学生や筑波大を目指す人に一言!

 

今のうちに、人とのつながりを持てるだけ持ちましょう!

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プロフィール
maki_profile
牧隼利(まきはやと)
牧隼利(まき はやと) 筑波大学体育専門学群出身。現在は、琉球ゴールデンキングスに所属し、Bリーグで活躍している。また、キャプテンとして筑波大学バスケットボール部を率い、インカレ優勝、自身はインカレ最優秀選手賞を受賞。エリート街道を駆け上がっていく中でも、プロアスリートとしては珍しく、「note」や「voicy」などで「バスケットボールプレイヤーの価値」「プロ選手の引退後」をテーマに問題提起をしている。筑波大学で培った、【自身で考える力】を武器に、これからも日本バスケットボール界を牽引していく。
基本情報
所属:琉球ゴールデンキングス
出生年:1997年
血液型:A型
出身地:埼玉県
出身高校:福岡大学附属大濠高等学校
出身大学:筑波大学
所属団体、肩書き等
  • 琉球ゴールデンキングス
筑波関連
学部:体育専門学群
研究室:バスケットボール研究室
部活動:バスケットボール部
住んでいた場所:春日4丁目
行きつけのお店:かつ大
プライベート
ニックネーム:マキ
趣味:サウナ
特技:なし
尊敬する人:吉田健司監督(筑波大学)、片峯聡太監督(福岡大大濠高校)
年間読書数:30-40冊
心に残った本:金持ち父さん貧乏父さん
心に残った映画:ショーシャンクの空に
好きなマンガ:スラムダンク、メジャー
好きなスポーツ:バスケ、サッカー
好きな食べ物:焼肉
嫌いな食べ物:ラーメン
訪れた国:8か国
大切な習慣:物を持たない、嫌なことは朝終わらせる
口癖は?:良くも悪くも
座右の銘
  • なし

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