大学卒業後、2018年より清水エスパルスに所属し、ミッドフィールダーとして活躍。中心人物としてチームに貢献している印象だが、その背景にはいくつかの挫折や葛藤があり、それを乗り越えうる彼の強靭な精神力が存在している。その精神力が大学時代に養われたものだとすれば、どんな経験によるものなのだろうか。
7歳でフットサル、8歳でカワハラFCに入団しました。サッカーに興味を持ったのは、2002年の日韓W杯を保育園のテレビで観て。中田英寿選手のプレーに感動したことがきっかけです。
実は、そのことについて僕は覚えていないのですが、高校になった時に当時の(保育園の)先生からそのように聞きました。
クラブからプロ昇格の声がかからなかったこともそうですが、トップに上がりたいという目標と同時に「大学にいきたい」とずっと思っていて。
中学3年の時に担任の先生に筑波大を勧められてからは、筑波大を狙える高校に進学し、大学進学を見据えた高校生活を過ごしていました。
小井土さん(現監督)のもとで学んだ4年間、攻撃的なポジションでやらせてもらっていたので、常に結果を求められていました。結果を出すこと――これはプロになってからも必要なことなので、大学時代から今までその感覚がずっと継続しています。
1年の開幕戦から試合に出させて頂き、良い形で1年目を過ごさせてもらったので、それほどアップダウンはありませんでしたが、2年の始めにブランクがありました。その後、ブランクを脱して2年の最後にインカレで優勝。3年の最初にも調子が下がって、途中出場が多くなったこともありました。
2年のオフシーズンから筋トレを本格的にやり始めて、体を大きくしたことで自分の感覚と動きが合わなくなってしまったんです、動きにキレがなくなったというか。でもだんだんフィットしてきて、後半にかけて試合に出られるようになりました。
チームメイトや先輩方の存在ですね。一番印象に残っているのは僕が2年に上がった時、3つ上の先輩だった早川史哉さん(筑波大卒。アルビレックス新潟)が、プロ1年目にしてJ1に開幕スタメンで出られていて。「筑波大で頑張っていれば、開幕スタメンで出られるチャンスがある」ということを身近な先輩に証明してもらえたことが、大きな指標になりました。
そうですね。精神論でいうと「一喜一憂しない」ことも大学で学びました。試合に出られなかったり、途中出場が続いた時期でも「自分のやっていることは間違いじゃない」と信じて、ブレずにやり続ける。それを貫き通せるだけの努力があれば、結果はついてきます。
プロ1年目の昨シーズン最初はほとんど出られませんでしたが、その時期もブレずにやり続けることができたのは筑波大で培った精神のおかげだと思います。
今の自分を自己分析すると、シュート、クロス、セットプレー、パスもそうですし、ボールを触っている時のプレーは、ボールを保持できれば奪われることはないと自負しています。
良いパスを出せる、良いシュートを出せる、ゴール前に飛び込んでいくなど、僕のようなサイドハーフの選手で7点、8点とっている選手はあまりいないので(昨季7ゴール)、その技術や自信は大学の時に身についたと思います。
監督の立場に立ち、試合の前半を見て、後半では実際に指示を出すという授業は特に印象に残っています。そういった視点はプロとして必要なものなので、今にもつながっていると実感します。
めちゃめちゃ勉強してましたよ。自分で言うのもなんですけど、テストの成績はかなり良かったです。
ただの自己満です(笑)。中学、高校でもテスト勉強が嫌いではなくて、色んなものに興味を示しては、その分野に関してとことん勉強するタイプで。何事にも“負けたくない精神”があるんですよね。
元々は栄養を学びたくて栄養研を希望しましたが、落ちてしまったという経緯もありましたが。
平日は練習が終わると、同級生と食事をして寮に帰る。休みの日もほぼそんな生活でした。
コミュニケーションは、ただ形だけでは相手の本音を引き出すことはできない――そう感じたのは4年でのこと。皆それぞれにやる気はあったにも関わらず、総理大臣杯を逃してしまった時でした。
その原因は、当時のキャプテンだった小笠原佳祐(筑波大卒。ロアッソ熊本所属)に色んなことを1人で抱え込ませてしまって、僕たちが彼の本音を引き出せなかったこと。皆が1つの方向に向かっていないと、どんなに技術のある選手たちが集まっても結果を出すことは難しいのだなと実感させられた経験でした。
小学校の時に形だけのキャプテンを務めた経験しかないので、僕の経験値でリーダー論を語るのは難しいのですが、プロの世界には、自分に自信のある選手や我の強い選手がたくさんいるので、1人のリーダーが皆をまとめようと思ってもうまくまとまりません。
筑波大の頃を振り返ってみると、先ほどお話した早川さんのように、いるだけで安心できる人もリーダーだと思いますし、逆に北川柊斗選手(筑波大卒。ギラヴァンツ北九州所属)のように、周りと協力しながらチームを盛り上げていく人もいます。
要は、リーダーとはこういう人物だという1つの答えはなく、チームに合わせた行動をとれる、そういった人が必要なのだと思います。
大学時代、試合に出られなかった時期でも「自分のやっていることは間違っていない」と信じて、自分の課題をしっかり客観的に見つめて目の前の練習に毎日集中し、自分を高めることができました、そういった積み重ねが、今の自分を作っていることを実感しているので、座右の銘にしています。
その経験があるからこそ、「プロで開幕スタメン」を豪語していたにもかかわらず、それが叶わなかった時にも、「自分のやっていることは間違っていない」と思える意地や自信が持てたのだと思います。
大学時代同様、ブレずに毎日の練習を積み重ねたことで、監督の篠田(善之)さん(2019年5月~12月監督)に使ってもらえていたので、「必ず誰かが見てくれている」、そして「うまくいっている時、いっていない時に一喜一憂せず、自分のやるべきことを積み重ねることが大事だ」と実感しています。
成功体験があるかないかは大きいと思います。
小井土さんの影響で、大学時代からプロの世界をイメージしてプレーしていましたけど、思っていた以上にプロの世界は厳しいです。
例えば“人に見られる”という部分で、ゴールを決めれば多くのお客さんに喜んでもらえますが、ミスをすればそれなりに批判もありますし、自分のプレー1つで勝ち点3取れるか取れないというプレッシャーから、ミスが得点に直結してしまう怖さもあります。
はい。積極的なプレーをしないといけないと思いつつも、守りに入ってしまうことがあるので、そこの意識改善することがプロとしては必要だと思います。
今が安泰とは思っていないし、正直まだまだだと思っています。結果を残し続けないと出られないレベルにいると思っているので、まだまだ改善できるところは改善しかなければと。
これは大学時代からの習慣なんです。筑波大の時もアホみたいに声出してましたね(笑)。静かな練習はつまらないし、声を出していないと自分が乗ってこないんです。
色んな人と喋るようにしています。挨拶を交わすこともそう。とにかく明るく元気よく。そういう、ちょっとしたことが大事だと思います。
人の笑顔を見るのが好きなので、多くのお客さんを笑顔にできるようなプレーをし続けることが目標です。
今でも忘れられないのが、プロになって初めてマリノスと試合をした際、ゴールを決めたら1万5千人のサポーターたちが立ち上がって喜んでくれたこと。
「自分はこの笑顔を見るためにサッカーやっているんだ」と強く感じましたし、自分がゴールを決める、チームが勝つことで誰かが笑うことができるのであれば、それに貢献したいと、そういったことを強く意識した瞬間でした。あの景色は本当にすごかったです。
まだ全然意識していないですね。先を見過ぎると気持ちがブレてしまう気がするので、昨年の自分を超える。今はそこに全力を注ぎたいです。
具体的には、2020年シーズンは『10ゴール』を目標にしています。
自分の課題や足りないところをしっかり認めて、それを改善していくために正しいアクションを起こすこと。
あれだけ色んなものが揃っているところはないと思うし、あらゆる誘惑から逃れられて、やりたいことに集中出来る環境は他にないと思います。東京都内の大学にいっていたら、たぶん僕はここにいないと思うほどですから。
所属: | 清水エスパルス |
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出生年: | 1996年 |
血液型: | A型 |
出身地: | 静岡県 |
出身高校: | 静岡城北高等学校 |
出身大学: | 筑波大学 |
学部: | 体育専門学群 |
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研究室: | サッカーコーチング論研究室 |
部活動: | 蹴球部 |
住んでいた場所: | 天久保2丁目 |
行きつけのお店: | プリムローズ やまびこ弁天 |
ニックネーム: | けんた |
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趣味: | 読書 |
年間読書数: | 50冊程度 |
心に残った本: | 書斎の鍵 |
心に残った映画: | マチネの終わりに |
好きなマンガ: | キングダム |
好きなスポーツ: | サッカー バスケットボール |
訪れた国: | スペイン 韓国 |
大切な習慣: | 早寝早起き |
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